好きな業界で輝くために
―人事トップからのリアルアドバイス―
就職活動中の皆さん、企業の人事担当者が学生のどんなところを見ているか気になりませんか?今回、焼鳥居酒屋チェーン「鳥貴族」で知られる株式会社エターナルホスピタリティグループでCHRO(最高人事責任者)を務める神山さんにインタビューし、インターン生の評価ポイントや企業理念の捉え方、新入社員研修の工夫などについてお話を伺いました。
神山さんの履歴
2005年に入社し、店舗勤務からキャリアをスタート。店長を経てエリアマネージャーとなり、一時は関東エリアで17店舗・約400名をマネジメント。そのうち93%は外国人スタッフでした。
2015年から教育部門に異動となり、社内研修講師や鳥貴族のマニュアル作成等を担当した後、労務部門に移り労務管理や人事制度の企画・立案に従事し、2025年より現職。
店舗から本社、人材育成から人事まで幅広く経験し、多様性と理念教育の両面に深い知見を持つ人物です。
インターンシップに参加した学生へのフィードバック
今回のインターンシップには海外からの留学生も含め、多様な学生が参加しました。
神山さんはインターン生たちの主体性と、社会課題に対する意識の高さに特に注目していたそうです。とりわけ留学生たちは、飲食業界への関心が高く、国家レベルの課題を自分事として捉え「自分に何ができるか」を真剣に考えていたといいます。
さらに、フードロスなど地球規模の問題にも目を向け、社会をより良くしようという意欲が感じられたそうです。また、学生たちの積極的なコミュニケーションや、知的好奇心旺盛で「分からないことを知りたい」という前向きな姿勢にも感心したとのこと。できないことを課題として認識し、それを克服しようとする意欲も含め、課題解決に向けて自ら動く力と人と関われる力が備わっている点を高く評価していました。神山さんが評価したこれらのポイントは、多くの企業でも共通して重視されるものです。
ぜひ自分をアピールする際の参考にしてみてください。
理念浸透の度合いを把握する手法
皆さんは志望企業の理念をどれくらい理解できている自信がありますか?
正直、企業説明会などで企業理念を耳にしても、「果たして自分はこの理念を本当に理解できているのだろうか?」と不安になることが筆者もあります。日本企業では企業理念やビジョンが採用時にも重視される傾向があり、神山さんも学生が理念をどれほど理解しているか注目しているそうです。そんな中、神山さんは学生の理念理解度を測るためのユニークな3段階の基準を教えてくれました。
1. 「理念を知っている」段階
2. 「理念に共感し、その理由や自分との関わりを語れる」段階
3. 「理念を実現するために自分が取るべき行動が明確になっている」段階
皆さんはいま何段階目にいると思いますか?
もちろん、第三段階まで極めるのは非常に難しく、業界や企業についての高度な研究と深い理解が必要だと筆者が思います。一方で、神山さんによると、第二段階に達する学生ですら稀で、そこに到達できる人は非常に優秀な人材として評価されるそうです。だからこそ、皆さんには「知っている」(第一段階)にとどまらず、「共感して語れる」(第二段階)レベルをぜひ目指してほしいというアドバイスをいただきました。
理念共有を強化するための活動
筆者が企業理念をどの程度理解できているのかを明らかにしたいと考える一方で、理念を重視する企業の特徴についても知りたいと思い、今回のインタビューで神山様に伺いました。
入社を判断する面接において共感の度合いを測った上で、新入社員の段階から理念浸透のためのさまざまな取り組みを行っています。入社2日目には全新入社員が参加する「理念研修」を実施。まず会社の理念を座学で学び、その後、実際の店舗業務を通じて理念の理解を深めていくカリキュラムになっています。先輩社員が後輩に理念を語り継ぐ場面も設けられており、お客様と接する現場で会社の理念を体感できる工夫もされています。
さらに、月に一度は社長から全社員に向けてトップメッセージが発信され、会社の最新状況の共有や組織の進むべき方向性が示されます。加えて、エターナルホスピタリティグループでは「TORIKIWAY(トリキウェイ)」という行動指針を文書で明文化し、全社員に共有しています。
筆者はこれまで60社以上の説明会に参加してきましたが、行動指針を文書として明確に定め、全社員に共有している企業はごく少数でした。行動指針の文書化は難易度が高く、多大な時間と労力を要する取り組みです。そのため、こうした取り組みを行っているかどうかは、企業が理念をどれだけ重視しているかを判断する大きな指標となり得ます。
神山さんの一言
最後に、神山さんは学生の皆さんへこんなエールを送ってくれました。
「これから長い人生が始まる中で、飛び込んだ産業をしっかりと好きになり、自己成長しながら、その産業の発展に自分が役立っていくという意識を持って、仕事に向き合ってほしい。そうすることで、充実した生活を送れる将来を築いてほしい」
神山さんの言葉を胸に、皆さんも好きになった業界で自己成長と社会貢献を両立できるキャリアを築いていってくださいね。
(記者 立命館大学 経営管理研究科 ゾウ)